甘寧興覇たち錦帆賊の面々は、死線をくぐり抜けて自らの領地へと戻り、合肥での手痛い敗戦の記憶もようやく落ち着きを取り戻し始めていた。 江東の湿った夜風が吹き抜ける中、実務能力に長けた生真面目な副官、蘇飛はその日の膨大な執… 続きを読む 呂蘭伝(最終話)鈴蘭
呂蘭伝(第六十四話)それぞれの帰還
十万を誇る呉の軍勢が、張遼文遠のわずか八百の騎馬によって文字通り粉砕され、合肥の戦場は前代未聞の潰走の海と化していた。 魏軍の猛追をいなしながら、甘寧興覇率いる錦帆賊たちもまた、泥沼の戦場を南の長江へ向けて必死に撤退して… 続きを読む 呂蘭伝(第六十四話)それぞれの帰還
呂蘭伝(第六十三話)文遠おじさん合肥にて突撃す
合肥の広大な大地は、一瞬にして中原の乾いた嵐に支配された。 張遼文遠と李典曼成が率いる、わずか八百の選りすぐりの騎馬突撃は、大軍を誇る呉の包囲網を、まるで乾いた竹を割るかのように次々と切り裂いていった。 李典が東の包囲網… 続きを読む 呂蘭伝(第六十三話)文遠おじさん合肥にて突撃す
呂蘭伝(第六十二話)并州の狼
魏は西方への版図拡大という極めて合理的な戦略に基づき、主要な軍勢をそちらへと差し向けていた。 荊州の領有権を巡って一触即発であったはずの呉と蜀が、これ以上の魏の肥大化を恐れて「荊州を折半する」という電撃和解に達するなど、… 続きを読む 呂蘭伝(第六十二話)并州の狼
呂蘭伝(第六十一話)もっと楽しい
練兵場を後にした甘寧興覇、蘭、蘇飛の三人は、自らの領地へと帰る途上にあった。 夕闇が長江の山並みを深く染める頃、甘寧は苦笑交じりに腰の鈴をシャンと鳴らした。 「蘇飛、演習の帰りに少し近道をしようと迂回したら、予定の宿にた… 続きを読む 呂蘭伝(第六十一話)もっと楽しい
呂蘭伝(第六十話)好敵手、淩統くん
益陽の地における関羽雲長との対峙が膠着の末に一段落すると、江東の地には再び束の間の平穏が訪れていた。 しかし、呉の大都督となった魯粛子敬は、曹操孟徳との次なる決戦を想定していた。 魯粛が取った一手は、諸将を集めた大規模な… 続きを読む 呂蘭伝(第六十話)好敵手、淩統くん
呂蘭伝(第五十九話)関羽の判断
勝利の蜜月も束の間、呉と蜀の同盟関係は、その土台からして極めて危うい構造であった。 荊州の所有権という現実的な利害を巡り、両陣営は軍事的衝突寸前まで激しく対立することとなったのである。 先に動いたのは呉の新大都督、魯粛で… 続きを読む 呂蘭伝(第五十九話)関羽の判断
呂蘭伝(第五十八話)弦の声を聞け
呂布の娘、蘭の弓術技術は、遙かなる頂きに手が掛かろうとしていた。 風が白波を立てる長江の広大な水面。 互いに不規則に別々に揺れる、自身が立つ船と、前方の別の船に設置された小さな的。 足場の定まらぬ水上での連続射撃など成功… 続きを読む 呂蘭伝(第五十八話)弦の声を聞け
呂蘭伝(第五十七話)周瑜の死
魏軍の放った矢による深手が響き、大都督・周瑜公瑾が、再び戦線に復帰することは叶わなかった。 周瑜、死す。享年三十六。 天下を動かす大器としては、あまりにも早すぎる若き終焉であった。 周瑜亡き後の大都督の座は、彼の遺言に従… 続きを読む 呂蘭伝(第五十七話)周瑜の死
呂蘭伝(第五十六話)戦場の錦帆賊
長江を巡る全面衝突ほどの規模ではないにせよ、荊州の要衝である江陵を巡る魏と呉の局地的な戦闘は、なおも継続されていた。 この江陵の前線において、呉の先鋒として暴れ回っていたのが、甘寧興覇であった。 彼は少数精鋭を率いる特… 続きを読む 呂蘭伝(第五十六話)戦場の錦帆賊